2013.4.11 03:04 [産経抄]
 「田中君、ちょっとうかがいますが、あなたが今歩いている二十一世紀とは、どんな世の中でしょう」。質問しているのは、司馬遼太郎さんだ。小学6年生の国語教科書のために執筆した『二十一世紀に生きる君たちへ』にある。

 ▼いつどこへ北朝鮮が中距離弾道ミサイルを発射するのか、世界は固唾をのんで見守っている。一方国内では関西の名門大学生らが、大阪市にあるテーマパークで狼藉(ろうぜき)を働き、ひんしゅくを買った。21世紀を見ることなく亡くなった司馬さんに、最近の出来事を報告するのはつらい。

 ▼神戸大学文学部2年の男子学生(19)と友人たちは、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」内で乗り物から飛び降りたり、わざとボートを転覆させたり、迷惑行為を繰り返した。安全確認のためにアトラクションが一時運休に追い込まれることもあったという。

 ▼しかも、自分たちの振る舞いをネット上で「偉業」と自慢していたというから、あきれてしまう。受けを狙ってふざけるお調子者を、大阪弁で「いちびり」という。彼らは、その範囲をはるかに超えてしまった。

 ▼「その訓練とは、簡単なことである。例えば、友達がころぶ。ああ痛かったろうな、と感じる気持ちを、そのつど自分のなかでつくりあげていきさえすればよい」。司馬さんは、小学生にこうアドバイスした。大学生にもなって、テーマパークのスタッフや他の入園者の精神的苦痛に、考えが及ばなかったのか。

 ▼司馬さんは、やはり小学生のために書いた『洪庵のたいまつ』のなかで、福沢諭吉や大村益次郎らを輩出した緒方洪庵の適塾を取り上げている。学生たちは、恩師からたいまつの火を引き継ぐためにある大学の名誉まで、大きく傷つけてしまった。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130411/crm13041103040002-n1.htm

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http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130409/waf13040908340005-n1.htm