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2014.8.1 03:16 [産経抄]
新卒者を大量に採用して、使い捨てにする。異常な長時間労働やパワーハラスメントが、まかり通っている。いわゆるブラック企業のなかでも、最悪の企業を“表彰”する、「ブラック企業大賞」の候補企業が、このほど発表された。
▼正反対のホワイト企業を顕彰するコンテストがあれば、岐阜県の電気設備資材メーカー「未来工業」は、間違いなく大賞候補だろう。なにしろ、就業時間は午前8時半から午後4時45分までで、残業は原則禁止。年間の休日は約140日もあって、定年は70歳。営業マンにはノルマもない。
▼創業者の山田昭男さんは、「社長の仕事は、社員を幸せにすること」と公言してはばからなかった。それでいて、自称「日本一のドケチ社長」でもある。コピー機は、本社に1台だけ。社員の頭上に、蛍光灯のヒモがのびているのは、離席の際に引いて消すためだ。
▼社員には、上司への報告さえ禁止している。その代わり、新製品や仕事の効率化について、常に考え続けるよう求めてきた。社員のやる気をどうすれば引き出せるのか。儲(もう)かっていない会社とは、違うことをやってみよう。若い頃、夢中になった演劇の仲間と会社を設立して以来、試行錯誤を続けてきた。その末にたどり着いた異色経営には、日本経済再生へのヒントも、数多く含まれている。
▼5年ごとに企画する、全社員を対象にした海外旅行も、未来工業の名物のひとつだ。創立50周年記念事業として、来年2月に出かけるイタリアでは、写真コンテストを行い、優勝者には新会社を設立する権利が与えられる。
▼82歳で亡くなった山田さんは、14年前に相談役に退いていた。山田さんの長男である、現社長のもとでも、「未来イズム」は健在らしい。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140801/trd14080103160002-n1.htm
未来工業
http://www.mirai.co.jp/
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